ピロリロと携帯のメール着信音が鳴り、ユフィに謝罪しつつ画面を見る。
『From. Lie』
たったそれだけの文字の羅列に、僕の心は喜びで満たされた。
メールに件名は無く、本文には『執務終了後、いつものカフェで待っています。』と書かれていた。
いつものカフェとは、この特区日本が成立していらい僕とライがずっと通っている和洋融合のカフェだった。
日本文化も好きなライはえらく気に入ったらしく待ち合わせはいつもそこ。
「誰からだったのですか?」
「えっと、学園のクラスメイト、だよ」
嘘は言っていない。
ただ、前にユフィにこれと酷似したメールを見られたときに「わたくしもいきます!!」と言って聞かず
結局三人でデート(あれ三人だからデートじゃないのかな?)をするはめになった。
そしたら次の時にはなぜかルルーシュとカレンまでいて、どこから情報が…?と思ったら
ユフィがすこしだけムッとしていたのを見ておおかたユフィが自慢げに話したら「自分達もついていく!」と言って聞かなかったんだろう。
そういうわけで、僕は二人きりの時間を邪魔されたくないからあれ以来ユフィの前でライの名前を出す事は極力控えている。
少しだけ爪を立てながらカチリカチリとボタンを押す。
『わかった。終ったらすぐにいくから。』と短めの文を入力し送信した。
「まあ!スザクのお友達ですか?」
「うん、まあ…。ユフィ、手がとまってるよ」
「いけない!ごめんなさい!」
少しだけ舌をだして謝る姿は実に愛くるしいが、僕は上手く話しをそらせただろうか。
これ以上つっこまれると流石に嘘をつくことが難しくなってくる。
沢山の書類にじっくり目を通しながらサインをするユフィ。
たいがいはゼロが一度目を通しているのでサインをするだけでも大丈夫なのだがきちんと目を通すあたり彼女はすごい。
なんだかんだで彼女も努力家なのだ。
ゼロ、といえば最近あいつもライにつめよっているらしい。
なんでも時間があればライを誘ってチェスをしているんだとか。
まったくいけ好かない奴だ。
「スザク?難しい顔をしてどうかしました?」
「いや…なんでもないよ」
「?そうですか?ライについて考えてたんじゃないですか?」
ユフィまるで恋話に花を咲かせる女学生のように笑っていた(実際は分からないけど…)。
四分の三あたりで四分の一はずれ。
四分の一くらいは多分ゼロのことを考えていた。
そう考えるのも癪だが事実なので仕方ない。
さて、ちゃきちゃきめんどうな仕事を終らせてライに会いに行くとしよう。
「終ったー!!」
「スザク、お疲れ様です」
「ユフィもおつかれさま」
互いに軽い挨拶を交わして僕は執務室を後にした。
さあ待ち合わせのカフェにいこう!
今日はライが先に待っているかな?それとも僕が笑顔でライを迎えるのかな?
ライはどんな服を着ているんだろう。軍服のままかな?
「急いでいたからそのままなんだ」とか照れながら言ってくれるかもしれない。
それともきちんと着替えて私服のライに会えるかも…!
君の事を考えているだけで、つかつかと歩調が早くなる。
早く会いたい。愛しい君に、一刻でも早く!
自然と口元が緩む。
とりあえずライに会ったらまず、耳元で言ってやろう。
ほんの少しの、文字の羅列で出来た、「あいしてる」という言葉を。
I Miss You!!!!!
(君が恋しくてしかたないんだ!!)
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