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『みなさん、こんにちは。お昼の放送の時間です』
ああ、今週もこの時間がやってきた。
機械から溢れてくる彼の声に、僕は耳を傾けた。
『金曜日恒例、昼の放送を担当するのは放送部所属のライです。今週もよろしくおねがいします』
7日間でたった1日、しかも十数分しかないこの時間が、僕にとっては最高の幸せだった。
いつもは生徒会のみんなと昼食をとったりするのだけれど、金曜日だけは必ず教室で一人黙々と聴き入るのだ。
彼――ライははじめ、生徒会に入る予定だった。
記憶の無い彼はまだこの学園になれる事ができなくて、そんな彼を一人にするのはいやだとミレイさんが言ったのだ。
ミレイさんの意見に反対する人はいなかった。もちろんライを一人にしたくないというのもあったが、誰もがもっとライと一緒にいたいとおもったから。
だが当人のライは、サラリとこう告げたのだ。「僕、放送部に入ることにしたんだ」と。
予想しなかったその言葉に驚いたが、ミレイさんは寂しそうに喜んでいた。
何故彼が放送部に入ったのか僕は未だに理解できない。
けれど、機械を通して聴く彼の声は、少しばかり雑音が混ざっていたりしていつもと違って聞こえてくる。
その少しばかりの雑音が僕にはとても心地よくて、新鮮で、面白くて、今では僕の習慣となっている。
『――今週の水曜日にはミレイ会長と生徒会の方々の発案で愛校祭がありましたね。愛校祭では―――』
ぽつりぽつりと発せられる言葉は僕の頭上から降り注いできて、まるで雨のよう。
そんな彼の声を聞いていると雨も捨てたもんじゃないと思えてくるから不思議だ。
『――ああ、そういえば来週には花祭がありますね。ミレイ会長が言うには―――』
ときおり小さな笑みのまじる声に僕もつられて笑い、目を閉じた。
『――続いては、お便り紹介のコーナーです。ええと、今日は二年生のイニシャルR・Kさん…――』
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