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ライは外へ出て行くとき、スザクにこういった。
「どうして、ユーフェミアの騎士になった?
僕の騎士だって、言ったのに…。僕を守るって言ったのに…!」
スザクは困惑していた。
ライが喜ぶ顔が見たくて、ずっとユーフェミアの騎士になる事を隠していた。
驚かせようと思った。ライなら絶対に喜んでくれると思ってた。
なのに、ライは泣いていた。
「この馬鹿がっ!」
ルルーシュはスザクの頬を思い切り殴った。
殴られたスザクは何がなんだかわからず、さらに困惑した。
「お前ライに『君の騎士になる』と言ったんだよな?」
「うん、そうだよ」
「ならどうしてユフィの騎士になった!」
「…え?」
「あいつはお前が自分以外の誰かの騎士になることなんて望んでない。
ただ、自分の騎士でいてくれればそれで良かったんだ」
「そんな…」
気付かなかった。ライが、ずっとそういう風に思っていてくれたなんて。
嬉しいという感情がスザクの中で湧き上がる。
でも、ライはいまスザクの腕の中にはいなかった。
「お前には、失望したよ」
吐き捨てるようにスザクに言い、ルルーシュは雨のなかライを追った。
見つけたライは、まるで世界の終わりのような目をしていた。
そしてルルーシュにこう告げる。
「ただの嫉妬だって言われてもいいんだ。それでも、それでも…
スザクは僕だけの騎士でいてほしかった。ずっと僕のそばにいてほしかった。なのに…!」
激しい雨の中、ライの涙だけがなぜかはっきりと見えた。
雨に混ざることなく、意志を持っているかのように美しく頬を伝っていた。
そんなライの姿に耐え切れなくなったルルーシュは、ライの目をみつめる。
「ライ。スザクのことは忘れろ」
「ルルー、シュ?」
「スザクを好きだったことを忘れて、変わりに俺を好きになれば良い。
お前が苦しむことなんてないんだ!!」
「…ルルーシュを、好きになってもいいの?」
「ああ。変わりでもいい。だから、もうそんな悲しそうな顔をするな。
俺はライを裏切ったりなんてしない。だから…!」
「あり、がと。ルルーシュ」
ライがふわりと笑った。
でもその笑顔は、どこか痛々しかった。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる…!」
この王の力で、君を幸せに出来るならば。
赤い鳥を、君に。
「おはよう、スザク」
「え、あ、おはようライ」
いつものように笑ってあいさつをしてくるライにスザクは違和感を覚える。
昨日の事もあるけれど、そうじゃなくてもっと別の何か。
自分の知ってるライなのに、自分の知らないライのようだと。
するとそこにルルーシュがやってくる。
ルルーシュがライに挨拶をすると、ライも笑って挨拶をした。
そこでスザクは気付く。
ライのルルーシュに向ける笑顔だけが、違う。
そうそれは、この間までライがスザクに向けていた笑顔だった。
「ライ、君…どうかしたのか?」
「は?スザク、君のほうがどうかしたんじゃないのか?」
あまり表情のない顔で言うライ。
スザクは自分とライの間にあるあからさまな壁に眉をひそめた。
どうしてだ?なぜ、ライはルルーシュにだけ笑うんだ?
その笑顔は、自分だけのものだったのに。
「ライ、行こう」
「そうだな。ごめんスザク、先に行くよ」
見せ付けるかのようにライの手をひくルルーシュ。
スザクはそれにイラっとした。
でも、どうしようもできない。
スザクは自分の責任だと思っていたからだ。
スザクがユーフェミアを受けいれたから、ライはルルーシュのもとへ行ったんだ。
なんとか自分を納得させようとするけれど、できなかった。
どうして気付いてあげられなかったんだ。
ライはずっと寂しい思いをしてきたのに、僕は。
自分のこぶしを握り締めて、悔しさで壁を殴る。
気が付けば瞳からは涙が流れていた。
気が付いてからでは遅いのに、
(気が付かなければ、まだ君をとりもどそうと思えたかもしれない)
(でも、気が付いてしまったから)
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