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王道 (ルル→ライ←スザだけどライシャリ:学園編温泉ネタ)



彼らは今、生徒会メンバーで慰安旅行に温泉へ来ていた。

「ここはキレイな場所だな。心が安らぐ…」
「でしょう?あなたにはいつも実行委員長として頑張ってもらっているから、旅行ぐらいはゆっくりしなさい」
「そうよ!せっかく慰安旅行なんだし、ね!ライ」
「ライさん…一緒に楽しみましょう」
「ライ、これで普段の疲れがとれるといいわね」
「ミレイさん、シャーリー、ニーナ、カレン…。ありがとう」

きゃっきゃっと笑いあって女子と話しに花を咲かせているライをみて、ある二人の男は決意する。

(この旅行で、ライと恋人に…!)(この旅行で、ライを僕のものに…!)

ぐっ、と拳をにぎり燃えているルルーシュとスザク。
だが当人のライは女子とともに旅館の中へ向かってしまった。
怪しい二人にリヴァルが声をかけて、後を追った。



旅館で男女別に部屋をわけて、各自部屋へと向かう。
そこでは浴衣をきるわけだが…


――あ、のさ。これどうやってきるんだ?

しどろもどろになりながら、自分に浴衣の帯を差し出すライ。
浴衣が上手く着れないらしく、ぐちゃぐちゃの浴衣からは彼の白い肌が見えている。

――ああ、これはこうするんだ。
――わっ…!きゅ、急に触らないでくれよ。その…ドキドキする。



((いい…!!))

変態まがいの想像(もとい妄想)をしているルルーシュとスザクの鼻からは、血がたれていた。
お互い、お前にライをやるものかと睨みあったのだが、鼻血のせいでいささか迫力がない。

「なあ…」

そんな二人に話しかけてきたのは妄想の的のライだった。
だがそこにいたライは二人の妄想とあまりにちがいすぎた。

「どうしたんだ、鼻血なんか出して」
「それよりライ…!」
「お前、浴衣着れたのか…!」

ライはきっちりと浴衣を着こなしていた。
それはもう完璧なまでに。

「なぜか分からないが、手が勝手に動いてしまったんだ。
僕は…日本人だったのかな」

ふっと自嘲めいてライは笑った。
それに気付いたのか気付いていないのか、ルルーシュとスザクは勝手に話を進める。

「そうだねライ!ライはきっと僕と同じ日本人だよ!!」
「いいや違うな!!ライはブリタニア人だ!!」

先ほどのように睨みあう二人にライは自分の嘲笑いさえ忘れて笑った。心から。
その笑い声にあっけにとられ、二人は呆然と立ち尽くしてしまう。

「ははははっ!!面白いな、二人は。そういうのって嫌いじゃないと思うんだ」

可憐に笑うライの姿に二人の鼓動は加速する。
ああなんて愛しいのだろうか。
こんなにも心の底から愛が溢れてくるなんて。

「会長達が待ってるよ。宴会場に行こうか」
「あ、ああ」
「う、うん」

ライは二人に手をさしのべる。
でも、差し伸べられた手はひとつ。
我先に、とライの手を掴もうとするが、ライの手は別の人の手を掴んでいた。

「「…え?」」

「もう、ライ!ルルもスザク君も!皆待ってるよ!」
「ああすまないシャーリー。さ、行こうか」

そう、ライの手を掴んでいたのはシャーリー。
ルルーシュでもスザクでもなく、シャーリー。

(くそっ…!だがまだ明日がある!明日こそライを俺の恋人に…!!)
(まさかシャーリーにとられるなんて…。でも明日こそライを僕のものに…!!)


(王道なんてつまらない!!)
(だってイレギュラーがあってこそ、恋愛でしょう?)





あえて王道に反逆してみました。
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