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「スザク」
本当に小さな声で呟いたつもりだったのに、彼には届いていたようだった。
「うん?どうかしたの?」
「…いや、なんでもない」
いつものように笑ってみせると、彼は安心したように「そう」と言った。
僕はスザクの事が好きだった。
それが恋愛での意味か、友愛での意味か、わからなかったけれど。
確かに僕にとって特別だった。
そうそれは、「あの人」と同じくらい。
「スザクはこれから軍の仕事?」
「うん…ごめんね」
「どうして謝る。スザクはスザクのやるべきことをやっているだけだよ」
それが僕達の敵になることだったとしても。
「だって、軍の仕事があると君といる時間が減るじゃないか」
「ハハッ。随分な口説き文句だな」
「…口説いてるんだよ、っていったら?」
「え…?」
スザクを見上げれば、触れるだけのキスをされた。
嫌だとは思わなかった。むしろ、嬉しいとさえ思った。
コンコン、とノックして僕は声をかける。
「ゼロ。失礼します」
「ライか。入れ」
一礼してゼロの私室に足を踏み入れた。
今日はC.C.はいないようだ。
「このあいだの作戦のデータの整理が終ったので持ってきました」
「そうか。そこに置いておいてくれ」
「はい。では、これで…」
用も済んだので部屋から出て行こうとすると
「ライ」
と呼び止められてしまった。
彼の声が変声機を通した偽りの声だと知っていても、僕にはとても甘美な誘惑に思えた。
「そこに座って、すこし私と話をしないか」
「はい、ゼロ。貴方が望むのならば」
くるりと踵を返してゼロの目の前の椅子に座った。
ゼロはこのあいだの四聖剣と白兜、つまりスザクとの戦いの話をした。
「私は枢木スザクとあの白兜は大きな戦力になると考えている」
「はい。確かに彼はかなりの実力をもっています」
「あれは黒の騎士団に引き入れたい力だ。だが、もしも」
「はい」
「もしも私が君に枢木を殺せと言ったら、君はどうする?」
「殺します」
即答したことに驚いたのか、ゼロはハッと息をのんだように思えた。
でも、僕は当然のことを答えたまでだ。
「君と枢木は仲が良いと聞いたのだが」
「それでも僕は黒の騎士団員です。ゼロ、貴方の命令は絶対だ。
僕の、僕らの主。僕は貴方に忠実な騎士。貴方にだけは逆らわない」
彼の目の前で跪けば、彼は僕の手をとり、そっとキスをした。
正確には仮面の口元あたりにコツン、とぶつかっただけなのだが、僕はとても嬉しかった。
「私の騎士。どうか、私だけの騎士でいてくれ」
「はい、もちろんです」
鳴かない小鳥
(そう、僕は鳴かない小鳥。貴方の声を聞き、貴方のためだけに生きるのだから)
(貴方のためならば、最愛の人さえも殺してみせよう。誰よりも愛する貴方のためならば)
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