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君に恋した記憶(ロロ猊下×王様ライ←ルルーシュ)


※一応ナナナ版ロロは出てきますが設定はノーマルなギアスのままです。
ナナナを知らなくても読めるようにしたかったので。ロロ個人の設定だけナナナということで。
R2でナナリーが総督になった頃の話で小話の後日の話しのつもり。
タイトルとかなり食い違った暗くて痛い話しです。


私の妄想話につきあってくれた心優しいでこたさんに捧ぐ!





星屑のような髪、蒼穹の瞳、何よりも美しい顔、透き通った声。
それはどこから見ても誰より愛してやまなかった親友だった。

に会うのは初めてかな、ゼロ」
「何を言っている、ライ。黒の騎士団へ戻ってくるんだ」

彼は今『私』といった。彼の一人称は僕であったはず。
否、それだけではない。何か、そう何かが決定的に違うのだ。

「仮にも軍の頂点に立つお前が、たった一人の脆弱な男に執着するなど可笑しなはなしだな。
残念ながらお前の言うライとやらはもういない。ここにいるのは…」
「かつて狂王と呼ばれた私の騎士、ライリア・ログレス・ディ・ブリタニアだよ」

ライリアと呼ばれた彼はその“男”の声が聞こえた瞬間に相手の方を向き、跪いた。
やっと気付いた。そのライには優しさがない。俺の知っているライはあんなにも優しかったというのに。


ライリアの頭の先には、俺と瓜二つの男がいた。

「C.C.から聞いてはいたが、これほどまでとはな」
「おや、C.C.は私の事も喋ったのかい。ずいぶんと肩を入れているようだね、兄さんに」

皮肉げに言われた“兄”という単語に俺は思わず顔をしかめた。
ライは全く反応せず、ただ“弟”に頭を垂れていた。

「もういい、ライリア。私の隣にきなさい」
「イエス、ユア・マジェスティ」
「さて。仮面をはずしてもらおうか、ゼロ。幸いここには私とライリアしかいない」
「お前が仮面をとらないようであれば、私がその仮面を壊してやるが?」
「…わかった。いいだろう」

先ほどから俺が警戒してきた限りでも敵はいないと判断した。
仮面に手をかけ、静かにそれをはずす。口にかかっていた布を下ろし、二人を見据えた。

「随分と嬉しそうだな」
「もちろんさ。ああ何年ぶりに見ただろうか。憎くてたまらないこの顔を」
「殺すのか、俺を」
「殺さないさ。殺さないよ、まだ」

“弟”は隣にいたライの頬に後ろからそっと手を伸ばし、爪で思い切り引っかいた。
思わず殴りそうになったが、ライを見ると彼は無表情のままだった。
そして思い切り引っかいた手で流れる血を気にせず優しく頬をなでる。
ただそれだけの動作なのに、俺はイライラしてどうしようもなくやるせない気分になった。

「ライリア、兄さんに説明してあげるといい」
「…まずここエリア11の総督を我々教団が裁く」
「総督…ナナリーをか?!ふざけるな!ライ、お前は何とも思わないのか?!」
「ナナリー・ヴィ・ブリタニアは前総督にして虐殺皇女であるユーフェミア・リ・ブリタニアと同じ過ちを繰り返そうとしている」
「ライ!やめろ!何を言っているんだお前は!正気に戻れ!!」
「…私は正気だ。それとライと呼ぶのは止めてくれ。そのような脆弱者の名で呼ばれるなど虫唾がはしる」
「くっ…あはははははは!そして最後にナナリーをお前の目の前で殺し、その後にお前を殺すんだよ」

“弟”はまるで玩具を持ったこどものように嬉しそうに笑った。
ライも、もう俺の知っているライではなかった。俺の名を呼んではくれなかった。

「愛するナナリーはもうすぐ死ぬんだ。そして親友だと想った男は変わり果て、髪の毛一本から足の先まで全部全部私のものとなった。
もっと絶望に支配されるがいい。私はそれ以上の絶望を見てきたのだから!!」

言い終えると俺を思い切り睨みつけ、その場を去っていった。
ライはその後を無言で着いていく。彼は俺の方を一瞬だけ見た瞳が、少し揺らいでいたような気がした。
振り返りざまに見えた彼の白い頬に浮き出た赤い傷が、俺の目に焼きついて苦しくなった。





(そうすればこの苦しみは、痛みは、共に消えてゆきますか)


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